名古屋市

名古屋の食文化

一説には、“経済的に安定していて食うに困らず、食に遊びが入り、独特の進化を遂げた”という名古屋の食文化。
名古屋めしなごやめし)とは、グルメ激戦区として知られる愛知県名古屋市の名物料理を指す造語です。
手羽先、きしめん、天むす、あんかけスパ、小倉トースト。
そんなB級グルメにカテゴライズされるメニューから、どて煮、手羽先、味噌おでんなどの居酒屋定番メニュー。ひつまぶし、名古屋コーチンなどの高級食材を使用した老舗グルメまで幅広い。
全国的に定番化しているわけでもなく、名古屋に来ないと食べられないものが多いことも、より特殊性が強くなる理由の一つとかんがえられます。

名古屋の喫茶店

名古屋人は喫茶店が大好きです。「喫茶店天国」と表現される、広大な駐車場をいっぱいにし、渋滞まで引き起こすその集客力は他のエリアを圧倒しています。
さぞや珈琲が好きなのだろうと思いきやそうでもなく、愛知県の珈琲の消費量は47都道府県中36位(平成21年・総務庁調べ)。名古屋人は珈琲が好きというわけではなく、あくまで「喫茶店」が好きなのです。

お得な「おまけ」とあか抜けない雰囲気が人気の秘密

喫茶店の開業ラッシュだった昭和30~50年代半ば当時、名古屋市は都市部としては比較的土地代が安く、個人でも出店しやすかった。ということが他エリアよりも喫茶店の数が多くなった理由と考えられますが、数が多くなると、息の頃為の競争も激しくなります。顧客獲得のため、お得なモーニングやおまけサービスが生まれ、柔らかいソファや、新聞や雑誌で、長居しやすい至れり尽くせりの空間ができあがりました。
この激しい競争から生まれた充実のサービスが、名古屋人を喫茶店へと向かわせるようになりました。

名古屋はもともと茶の湯の文化が盛んな土地であり、古くから小豆を使ったお菓子を愛する人が多い場所でもありました。 「小倉トースト」 は、第一次世界大戦後、もち米の価格が以前の4倍にも跳ねあがり、米を安く手に入れることができなくなったことから経営の危機を感じた和菓子屋が店をたたみ、喫茶の経営に乗りだしたのがはじまりと言われています。
パンとバターは手に入り、「パンブーム」が到来していたこの時代。バタートーストが喫茶店のメニューに加わりました。昔ながらのメニューの「ぜんざい」に、学生たちがトーストを浸して食べているのを見た店主が、最初からあんことバタートーストを合わせたメニューを作ってしまえばいいのでは?とメニューに加えた「小倉トースト」。
今では名古屋の喫茶店では、欠かせないメニューの一つとなっています。

午前中に珈琲を頼むとゆでたまごやトーストがついてくるお得な「名古屋のモーニング」の中でも「小倉トースト」は定番のメニューになっており、名古屋特有の文化を印象付けています。


現在、全国で人気を博しているコメダ珈琲店は、このような名古屋人が好きな喫茶店のスタイルを見事に網羅していると言うことができるでしょう。

地域の文化にはやはり地域独自の歴史や伝統が背景として生まれています。
独特な名古屋の食文化には、名古屋市の特徴的な「土地柄」があったのでしょう。

鶏肉をベースに使用した料理

名古屋めしでB級グルメにカテゴライズされるメニューの共通点として「味付けが濃厚でクセが強い」点があります。スパイシーなコショウが効いた「幻の手羽先」が定番メニューの「世界の山ちゃん」など、「手羽先」は名古屋めしの中でも代表選手。
鶏の手羽先(羽先)をから揚げにしてタレを塗り、胡椒白ごまなどを振りかけて仕上げる。パリパリとした食感とスパイスの効いた味が特徴で、酒肴として食べられることが多いです。
昭和30年代、某居酒屋の発注ミスが発祥のきっかけといわれています。
いつもの鶏肉を入手できず、代わりに手羽先を仕入れ、当時の看板商品と同様に調理したところ、肉とタレのバランスがよく、またコンパクトさがつまみにはうってつけと評判になっていったのです。

「えびふりゃー」は、名古屋名物ではなかった?

名古屋弁を面白可笑しく誇張して表現され、『名古屋人は「エビフライ」のことを「えびふりゃー」と発音する。』話題にされたことが影響して、「エビフライ」も名古屋名物であるという誤解が全国に広まりました。
とはいえ、クルマエビは愛知県の魚に指定されており、伊勢湾、三河湾は日本でも有数のクルマエビ漁獲量を誇る漁場であったこともあり、エビフライを取り入れたメニューを提供する店やエビフライ専門店なども現れはじめ、「えびふりゃー」も名古屋めしのひとつであると認知されるようになっていきました。

そのほか、味噌煮込みうどん、味噌カツ、天むす、菜飯田楽など、、紹介しきれないほど名古屋めしの種類は数えきれないほどあります。